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2023.05.17

メンタルトレーニングとは?

メンタルトレーニングとは、スポーツ選手等が実力を発揮するために行っている心理面のトレーニングです。
スポーツ選手、特にオリンピックや世界大会を目指す選手は、試合本番では、対戦相手だけでなく、大きな緊張やプレッシャーとも闘うことになります。長い時間をかけてトレーニングしてきたことを、本番で発揮しなければならないのですから、想像を絶するプレッシャーを感じることでしょう。そのために、絶対にこれをすればよいという魔法のようなものはありません。普段の技術や体力のトレーニングと同様に、心理面のトレーニングも欠かせなくなってくるのです。

「心技体」と言われ、技術や体力だけでなく、心理面の重要性は昔から指摘されていました。
1968年の東京オリンピックの前には、「あがり」対策について専門家の検討チームができました。その後、1984年のロサンゼルスオリンピックで、アメリカチームにメンタルトレーナーが配置され、多くのメダル獲得に貢献したと言われました。そこから世界各国でも、メンタルトレーニングを取り入れようとしてきました。

従来は、下の図の上に示すように、まさに「心技体」の一つとして、技術はコーチが、体力はトレーナーが指導するので、心はメンタルトレーナーが指導すれば良いと考えられてきました。そのため、集中力のトレーニング、リラクセーションのトレーニングなどを選手に指導してきましたが、なかなかそう簡単には行きませんでした。なぜならば、試合本番での集中力やリラクセーションは当然大切ではありますが、それ以前に、日頃の練習への取り組み方、あるいは毎日の練習以外での過ごし方、さらには競技に対する考え方などが、実はとても大切になるのです。テスト前の一夜漬けの勉強と同じで、そう簡単にはテストの点数は良くならないのです。

そこで、私たちが重要だと考えたのが「心技体」を支える「心身」です。これは、基礎的な心理的能力、あるいは心的エネルギーと呼んでも良いかもしれませんが、競技を支えるその選手の持つ人間的な力のようなものです。そして、この基礎的な心理的能力、あるいは心的エネルギーが高まれば、土台が上がることによって競技力も自然と上がってきます。逆に、この基礎的な心理的能力が低いままでは、いくら集中力のトレーニングをしても競技力向上は望めません。

メンタルトレーニングの考え方


では、この基礎的な心理的能力とは何で、どうすればこの心理的能力が高まるのでしょうか?
それは、自分の考えや気持ちを言葉にすることや、人の話を聴くことなど、日常生活での当たり前のことを当たり前にできることがまず大切です。あるプロ野球選手は、大学時代に練習はサボリ、みんなに挨拶もせず、授業も出なかったため、卒業できませんでした。それでも社会人野球に入ることができたのですが、そこでも、練習には遅れ、謝りもしなかったそうです。しかしながら、社会人1年目の終わりに、来年も結果が出なければ退部になると言われ、そこから気持ちを入れ替え、練習には遅れずに参加し、みんなにもきちんと挨拶をするようになったそうです。すると、まさに人が変わったかのように結果が出るようになり、2年目のシーズンでは大活躍し、ドラフトにかかり、プロ野球選手として活躍したそうです。当たり前のことを当たり前のようにやることこそがとても大切な場合もあるのです。

さらに、自分の行動を振り返り、自分がどうしてそうした行動をとったのかに気づくことです。自分のことはよくわかっているようで、実は自分が悪いと思っているところには目が向いていないことが多いのです。
例えば、誰かと話をしていて、あなたが怒り出したとしましょう。その時にあなたはどう思うでしょうか?相手が原因で、あなたを怒らせたとは感じないでしょうか?確かに相手にも原因はあったかもしれませんが、実際に怒ったのはあなた自身で、そういった原因があれば怒るというのは、実際にあなたが取る行動パターンなのかもしれません。「良い」「悪い」ではなく、どういった時ににどんな行動を取るのかを知ること、気づくことがその行動を変える大きなきっかけとなるのです。他人から注意された癖はなかなか直りません。しかしながら、自分で気づいた癖は簡単に直すことができるのです。

さあ、みなさんも日常生活を大切にしながら、自分への気づきを高めていきましょう。これがメンタルトレーニングでは最も大切なことなのです。
具体的な方法については、また別のところで紹介します。

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