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2025.06.05

壁と橋ーなぜ私たちは「違う人」を遠ざけるのか?ー




 私たちは、家族、職場、趣味のコミュニティ、国といったさまざまなレベルの集団に所属しています。たとえば、日本とか、心理健康学科という集団のことで、私たちにとって内集団と呼ばれています。これは根拠があると考えられます。
 社会心理学者アンリ・タジフェルは、適当に分けた根拠がないグループの分類であっても、人は自分の属する内集団をひいきして、外集団を低く評価する傾向があることが示しました。これは「最小条件集団パラダイム」と呼ばれます。つまり、根拠がなくても「同じグループだ」と思うと、人は集団の外側に「壁」を作ってしまうということです。
さらに、私たちは「外集団の人々は皆同じようなものだ」と思いがちです。これを「外集団同質性バイアス」といいます。「内集団は多様だが、外集団はみんな同じ」という認識は、ステレオタイプや偏見を生み、差別へとつながることがあります。
 どうすれば「壁」を「橋」をかけることができるのでしょうか? 重要な一つのやり方は、外集団の人々と実際に関わってみることです。異なる集団の人々が協力する経験を持つことによって、相互の理解が深まり、差別が和らぐことが分かっています。ここでは、人の心の働きに社会(集団)が根を深くおろしている例として紹介してみました。

(記:廣瀬清人)

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