2025.11.13
本学科の学科長である山本裕二教授が共同執筆された論文が,国際誌『Fractal Fractional』に掲載されました!
この研究では,Jリーグサッカーの10試合中のインプレイの時間間隔と,選手がボールを保持する時間間隔の時系列に同じ自己相似性(フラクタル性)が潜んでいることを明らかにしました.
インプレイの時間間隔は,どちらのチームがボールを保持しているのか関係なく,サイドラインからボールが出たりしてプレイが途切れるまでのプレイが継続している時間のことで,1試合の中でこのインプレイの時間がどう変化していったかを見るものです.他方,選手がボールを保持する時間間隔は,パスを受けてボールをキープして次に味方にボールが渡るまでの時間や,相手に取られるまでの時間のことで,ワンタッチでパスを出した場合にはほんのわずかな時間になります.
こうした試合全体の中での大まかなインプレイの時間間隔と,個々の選手の細かなプレイの時間間隔は相互にかかわりあっていることから,そこには同じ規則性,つまり,短い時間間隔が多くみられ,長くなるほどその頻度が減少するという同じ特徴が見られたという結果です.
一見,全く関係がないようなところでも,部分と全体が相互にかかわっているという一つの証拠となるものです.

本学科では,スポーツや時間のリズムなど,日常の中に潜む人間の行動原理を科学的に探究しています.心理学を中心に据えつつも,データ分析や数理モデルなど多様な視点から「人の心と行動のしくみ」を読み解く研究を進めており,新しい発見が生まれる“知のフィールド”が広がっています.
【論文情報】 Yokoyama, Y., Shima, H., Kijima, A., & Yamamoto, Y. (2025) Football games consist of a self-similar sequence of ball-keeping durations, Fractal Fractional, 9(7), 406. https://doi.org/10.3390/fractalfract9070406.