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2025.12.25

本学科の野村照幸教授が共同執筆された論文が,国際誌『BMC Psychiatry』にオンライン掲載されました。

医療観察法病棟に「電子図書館」を入れたら,どう使われたのか

本学科の野村照幸教授がセカンドオーサーとして参加した英語論文が,国際誌BMC Psychiatryでオンライン公開されました。
論文タイトルは,“Establishment of an electronic library in forensic psychiatric wards: a survey of its actual use by forensic inpatients” です。

医療観察法病棟は,裁判所の決定のもとで専門的な入院治療などを行う病棟で,安全に配慮が必要なため,情報へのアクセスが課題となることがあります。そこで本研究では,安全管理を施したICT端末を用いて「電子図書館」を導入し,利用実態を利用ログで調査しました。

全国9施設で実施し,参加者は91名,電子書籍の総貸出数は3,429冊でした。利用には大きな個人差がみられた一方,生活に役立つ内容や趣味,芸術の本がよく利用されました。健康に関する自己評価の一部項目では,利用が多い群で良好な傾向もみられました。
注.これらは利用頻度との関連を示すもので,原因と結果を示すものではありません。

本研究は,医療観察法病棟で電子図書館が実際に利用され得ることを示し,利用の個人差や関連要因を検討するための基礎データを提供しました。心理検査で捉えた範囲では明確な悪影響は示されず,安全に配慮しつつ情報アクセスを支える手段となり得ることが示唆されました。
なお,本論文はオンライン公開後の編集段階であり,今後,表現や体裁が一部修正される可能性があります。

【論文情報】 Takeda, K., Nomura, T., et al. (2025) Establishment of an electronic library in forensic psychiatric wards: a survey of its actual use by forensic inpatients, BMC Psychiatry,  https://doi.org/10.1186/s12888-025-07632-3

この研究のように,状況や制約の違いを超えて,回復を支える環境づくりを実装し,その利用実態や関連要因をデータで検討できることも心理健康学科の魅力です。
ぜひみなさんも心理健康学科で,こころの健康を支える仕組みづくりと,その効果を科学的に確かめる最先端の研究に触れてください。

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