メンタルトレーニングでは、様々なリラクセーション技法が用いられます。これは、「からだ」から「こころ」に働きかけるもので、ストレスに対して、「からだ」を手がかりに、あるいは「からだ」を調整することで、「からだ」を弛緩させることによって、「こころ」のリラクセーションを目指すものです。
ここでは、呼吸法と筋弛緩法を紹介します。
呼吸法は一般によく行われているリラクセ-ションの方法です。
「こころ」を落ち着かせるために、例えば、コ-トに入る前やサ-ブの前に深呼吸をすることはよく見かけることですね。また、仏教では早くから健康法として呼吸法が取り入れられています。
ここでは腹式呼吸によるリラックスの仕方を示しましょう。
【腹式呼吸】
- まず、あお向けになり、目を軽く閉じ、手を腹の上に乗せましょう。
- 深く息をしながら、腹の上に乗せた手が上下することに注目しましょう。
- 次に大きくゆっくりと呼吸をします。ゆっくりとお腹いっぱいに息を吸い、少し息を止め、ゆっくりと口から吐いていきます。この場合、心の中で数を(1、2、3、4と)数えながらやったり、息を吐くときに「アッ-」「ウ~」と言いながらしたりするとやりやすいと思います。
- これをそのリズムに注意しながら数回繰り返してみましょう。
- 徐々に、吐く時間を長くしていきましょう(図の第1段階から第2段階へ)。
筋弛緩法は、「からだ」の緊張を自分の意志でリラックスし、さらに自分の「こころ」の緊張、不安や悩み、こだわりを解消しようとする訓練法です。普段、我々は知らず知らずのうちに、「からだ」が緊張しています。特に、最近では、スマホの操作や小さな画面への凝視、また、コンピューターに向かい合って何時間も仕事をすることが当たり前になってきました。なので、ついつい肩に力が入って肩が凝ったり、首回りが凝り固まってしまいますが、そのことになかなか気付けません。そこで、筋肉をわざと緊張させることによって、そこから力を抜き弛緩させることで、「からだ」だけでなく「こころ」もリラックスする方法です。ここでは、肩甲骨合わせ、緊張肩回し、首弛緩の3つの方法を紹介しましょう。
【肩甲骨合わせ】
- 両肩を後に回し、両肩甲骨を合わせましょう。両肩には力を入れますが、肘から先には力を入れないようにして、肘から先はぶらぶらにしましょう
- そのまま両肩を上に上げ、両肩の間に首がはさまるようにあごを引いて、両手をぶらぶらさせましょう
- この状態から、両肩・両腕をストーンと一気に落としてみましょう。身体の後に両腕を落とすつもりでやってみましょう
【緊張肩回し】
- 肩・腕・手に力を入れ、そのまま両肩をあげましょう
- 肩が上に上がったら、肩を後ろに持っていき、両肩甲骨を合わせましょう。そして、そのまま両腕を下げ、腕は体側よりも後ろに来るようにしましょう
- 力を入れたまま、両肩を前へもっていきましょう。腕を伸ばしたまま、自分の胸を挟み込むように下から上に回していきます
- 胸を挟んだ状態から、両腕を後ろに回し、両肩甲骨をつけて上に上げ、首を両肩で挟みましょう。そして、ゆっくりと両肩・両腕を前に向け体側のところに来た状態で、ゆっくり両肩・両腕を下に下ろしましょう。どうですか、両肩・両腕ともリラックスできましたか
【首弛緩】
- 首の後ろ弛緩:頭部が後ろに自然に倒れる感じで、後ろに頭を倒します。口を開けて「ばか面」で、肩の力、顔の力を抜いてやってみましょう
- 前落とし:目を軽く閉じて、首から力を抜きましょう。電車で居眠りをしているようにガクンと首が落ちる感じで、前に頭を倒します
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